こんなにも、いそがない企画3
2005-10-21


(続き)
1994年春、ぼくは体調を崩し、病気になってしまったのだ。
数ヶ月、あちこちの病院に通ったものの、診断されるのは暗い内容ばかり。
気が滅入ってしまったので、一ヶ月、すべての番組を降り、入院した。
「ポケットファンタジー」は、友人の作家が「復帰したら、藤井くんに戻すから」という暖かい条件で、代ってくれた。その作家にも、スタッフにも感謝しましたね、ぼくは。
結局、症状はよくならなかったが、退院。治癒はしないのだが、なんとか日常生活に戻れた。
これからは病気とつきあいながら、騙し騙しで行くしかない。
「厄年にしては、ちょっと早すぎるなぁ」
とぼくは思った。万事、人より先に何かをやりたがる性格なのだが、こんなことまで人に先んずる必要はないだろう、と。

現場に戻り、「ポケットファンタジー」も再開した。自分的にも、また気に入った作品が書けるようになった。調子が戻ってきたのだ。
ところが、翌1995年春、突然、番組を降りることになった。
理由はよくわからない。が、放送現場では、時としてあることだ。
釈然しなかったが、ぼくは番組を降りた。

手元には150本ほどのショートストーリーの原稿が残った。
最初に書いてから、3年半が経過していた。
(続く)
[誰も]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット